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イーガンとロビンスンを除くと日本では馴染みのない作家が多いので、本書を読んで気に入った作家がいたら、単行本を読んでいくのも良いだろう。ダリル・グレゴリイ『迷宮の天使』(創元SF文庫)、ジャスティナ・ロブソン『アルフハイムのゲーム』(ハヤカワ文庫)、陳楸帆『荒潮』(新ハヤカワSFシリーズ)、マルカ・オールダー(他3名との共著)『九段下駅』(竹書房文庫)が翻訳されている。
最後に、原題のTomorrow’s Parties はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのAll Tomorrow’s Partiesからとられている。ウィリアム・ギブスンの『フューチャーマチック』の原題もこれなのだが、貧しい娘が明日のパーティーに何を着ていったらいいのと歌う悲しみの歌が、現代の人々が未来に対して持つ不安の隠喩となっている。本書を読んで、未来への不安の中に少しの希望が見えてくるといいなと感じた。